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イナンナ・・・月神ナンナルの娘。金星神。
愛と豊穣の女神。

   

イナンナは天界の聖堂にいましたが、

地下界に下っている夫ドゥムジを追うため

地下界に下る決心をしました。

天の神が地下界へ下るにはいろいろ準備が必要で

彼女はまず神殿の地位を退きウルク、バドティビラ、

ザバラム、アダブ
ニップル、キシュ、アッカドの

各都市にある神殿に別れをつげました。

それからイナンナはシュガルラと呼ばれる王冠を

かぶり
ラピスラズリの首飾りをつけ

黄金の腕輪をはめました。

貴婦人用の長衣を着て香水をつけました。

そして小間使いの女神ニンシュブルにこう伝えました

「私はこれから地下界へ下ります。私がついた頃、

あなたは神々の住まいを
訪ね歩き、

私が地下界で殺される事がないように

大神たちに助けを求めなさい。

ウルのエンリル神、エキシュヌガルのナンナル神、

エリドゥのエンキ神に頼みなさい

大神たちの前では涙を流し言葉を尽くして

助けを求めなさい。」

それからイナンナは地下界の入り口へ進みました。

そこには地下界の番人ネティが見張りをしています。

女神は門番に言った。「門をあけよ門番よ」

門番は門にいるのが天界の女神イナンナであることを知り

「お待ちください。女神イナンナ、 地下界の女王エレシュキガル

(イナンナの姉)
の許しをいただいて来ますから」と

言い女王のもとへ行った。

女神イナンナが王冠をつけ、いろいろな飾りを身のつけて地下界

の入り口まで
来ていると伝えられたエレシュキガルは

妹と仲が良くないので腹を立てましたが

条件付きで地下界に入ることを許可しました。

「番人ネティよ、よく聞きなさい おまえは地下界の七つの門を

私の妹イナンナのために開けてやりなさい。

しかし、ひとつの門に入るたびに身につけているものを彼女から取り去りなさい」

と番人ネティに言いました。

女神イナンナが地下界の第一の門に入ると彼女の王冠が持ち去ら

れました。

「これはどういうことなのです」と女神は番人に詰問した。

「これが地下界のおきてなのです。

おきてには従わなければなりません」

と番人は答えた。

女神が第二の門に入ると彼女の杖が持ち去られました。

「これはどういうことなのです」と女神は番人に詰問した。

「これが地下界のおきてなのです。

おきてには従わなければなりません」

と番人は答えた。

第三の門に入るとラピスラズリの首飾りが持ち去られました。

第五の門に入ると彼女の黄金の腕輪が持ち去られました。

第六の門に入ると彼女の胸飾りが持ち去られました。

第七の門に入ると彼女の衣服が持ち去られました。

「これはどういうことなのです」と女神は番人に詰問した。

「これが地下界のおきてなのです。おきてには

従わなければなりません

人間は素裸でここへやつて来るのです」

と番人ネティは言った。

こうして素裸にされた女神イナンナは地下界の宮殿に

連れて行かれました。

宮殿の王座には、イナンナの姉エレシュキガル

が座っており、そのまわりには

七人の地下界の神々がひかえていました。

女神イナンナは地下界へ下って来たという理由で

裁判にかけられ
有罪を宣告されました。

女王エレキシュガルが死刑の判決を言い渡すと

女神イナンナの魂は

飛び去り死体となってその場に倒れました。

イナンナの死体は宮殿の壁に吊り下げられました。

イナンナが地下界へ向かって三日経った頃、

小間使いのニンシュブルは

大神たちのもとへ行き主人のイナンナが地下界へ

行った事を伝え、
彼女を助けてくれるよう訴えました。

まずエクル神殿でエンリル大神に会い、

その娘であるイナンナを助けるよう

求めましたが、エンリル神はイナンナの勝手な

ふるまいを非難し聞き入れません。

次にニンシュブルはウル市にあるエキシュヌガル神殿で

ナンナル神に会い、

同じ事を訴えましたがナンナル神もエンリル神と同じ事を

言い聞いてくれません。

次にエリドゥ市へ行ってエンキ神に同じ事を訴えました。

エンキ神は女神イナンナの運命を心配し、

救い出すことを考えてくれました。

彼はまず、爪の垢からクルガルラとガラトゥルという二人の神官をつくり出し

クルガルラには(命の食べ物)をガラトゥルには(命の水)を渡しました。

そして彼らにこう言いました。

「おまえたちは地下界へ行って、エレシュキガルの病を

治してやりなさい。

そしてそのお礼に川の水か畑の大麦をくれると言ったら、

それを断り

壁にかけられているイナンナの死体を譲り受けなさい

そして(命の食べ物)と(命の水)を死体にふりかければ

女神イナンナの

死体は立ち上がるであろう」

クルガルラとガラトゥルはエンキ神の言葉を聞き急いで

地下界へ下って行きました。

彼らは地下界の女王エレキシュガルの病を治してやりました。女王は二人に

川の水と畑の大麦を贈ろうとしましたが、

二人はそれを受け取らず女神イナンナの

死体を求めました。女王は二人に死体を渡しました。

二人が(命の食べ物)と(命の水)を死体にふりかけると

イナンナは
蘇り立ち上がりました。

女神イナンナが地上へ戻ろうとすると、地下界の神々が

「イナンナよ、地下界から地上へもどるためには、

代わりの者をつれてこなければいけない」

と言った。そこでイナンナは誰か代りのものを

引き渡すことを約束し

地下界へ代りの者を連れて行くために精霊のガルラたちが

イナンナについて
地上へ昇って行きました。

地上では喪服を着た小間使いニンシュブルが生き返った女神

イナンナを見て
足許に身を投げ出して喜びました。

精霊たちはニンシュブルを代りの者として

地下界へ連れて行こうとしましたが

女神イナンナは「彼女はわたくしのために

大神たちを訪ね歩き、わたくしを助けるように

計らってくれたのです。彼女を引き渡す訳にはいきません。」

と言っておしとどめた。

次にウンマ市のシグクルシャツガ神殿へ行きますと、

喪服を着たシャラ神が
生き返ったイナンナを見て、

足許に身を投げ出して喜びました。

精霊たちはシャラ神を代りの者として地下界へ連れて行こうとし

ましたが
女神イナンナは「彼はわたくしのために歌をうたうもの
わたくしの髪を
ととのえてくれる人です。

彼をを引き渡す訳にはいきません。」と言っておしとどめた。

次にバドティビラ市へ行きますと、喪服を着た主神ラタラクが

生き返ったイナンナを見て、足許に身を投げ出して喜びました。

精霊たちはラタラク神を代りの者として地下界

へ連れて行こうとしましたが
女神イナンナは

「彼はわたくしのそばに仕える宰相です。

彼をを引き渡す訳にはいきません。」

と言っておしとどめた。 

次にクラブの原へ行きますと、女神イナンナの夫である

若い牧神のドゥムジは
喪服もつけず、

立派な衣服を着て楽しそうにしていました。

イナンナは、自分がつらい目にあっているのに

悲しみを示していない夫を

見るなり、怒り狂って言った。

「精霊たちよ、あのドゥムジを地下界へ連れて行くがよい」

精霊たちはドゥムジをとらえました。ドウムジは怖れ、

天に両手を上げ
太陽神ウトゥに祈りました。

「太陽神ウトゥよ、あなたの身内である

女神イナンナの夫を助けたたまえ。

私の姿を変えて精霊ガルラたちから救って

ください。わたしの姉ゲシュティアンナ

のところへ行けるようにしてください。」

太陽神ウトゥはドゥムジの運命を哀れみ、

彼の姿を蛇に変えてにげられるように
してやり、

彼の姉ゲシュティアンナのところへ導きました。

天のぶどうの樹の神であるゲシュティアンナは

傷ついた弟を見て嘆き
彼をかくまいました。

一方精霊ガルラたちは、逃げてしまった

ドゥムジを追って探し回り

ついにゲシュティアンナの家まできて彼女を

ひどい目に合わせ家中
を探し回りましたが

ドゥムジを見つけることはできませんでした。

次に精霊たちは野原の羊小屋を捜して、

そこに潜んでいたドゥムジを捕まえ


ついに地下界へ連れ去りました。

 

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